「やってみせ、言って聞かせて、させてみて、褒めてやらねば、人は動かじ」
山本五十六の有名な言葉だ。
指導や育成に関わる人なら、一度は心に刻んだことのある格言だと思う。
自分もこれを意識して、仕事ではできるだけ実践してきたつもりだ。
まず自分がやってみせる。
理由を丁寧に説明する。
実際にやらせてみる。
できたところはきちんと褒める。
それでも、どうしても動かない人がいる。
言っても響かない。
見せても真似しない。
任せても逃げる。
褒めても変わらない。
正直、最近はこの部分で悩んでいる。
「自分の教え方が悪いのか」
「伝え方が足りないのか」
「もっと根気強くやるべきなのか」
そうやって自分を責めながらも、
一方でこう思ってしまう自分もいる。
――本当に、全員がこの言葉どおりに動くものなのだろうか。
山本五十六の言葉は、指導する側にとっての理想だ。
でも現実の現場には、
「やってみせても見ない人」
「言って聞かせても聞かない人」
「させてみても避ける人」
「褒めても受け取らない人」
が、確かに存在する。
そこで最近思うのは、
「人を動かす」ことには限界がある、ということだ。
結局のところ、
動くかどうかを決めるのは本人でしかない。
こちらがどれだけ手を尽くしても、
本人に「変わりたい」「成長したい」という意思がなければ、
人は簡単には動かない。
それは指導者の敗北ではなく、
その人自身の課題なのかもしれない。
だから今は、こう考えるようにしている。
・本気で学ぼうとする人には、全力で関わる
・やる気のある人を、きちんと育てる
・無理に全員を引き上げようとしすぎない
全員を救おうとすると、
一番疲れ、壊れてしまうのは指導する側だ。
山本五十六の言葉は、
「こうすれば必ず人は動く」という魔法ではなく、
「ここまでやって、初めて人を育てたと言える」という
指導者側の覚悟の言葉なのだと思う。
それでも動かない人がいるのは、
あなたの指導が間違っているからではない。
悩んでいるということ自体が、
本気で人と向き合っている証拠だ。
同じように悩んでいる人が、きっとたくさんいる。
今日も現場で、家庭で、組織で、
「どうすれば人は動くのか」と考えながら踏ん張っている。
答えは簡単ではない。
でも、悩みながらでも人と向き合い続けているあなたは、
すでに立派な「教える側」の人間だと思う。
無理しすぎず、
動こうとする人と、まずは一緒に歩いていこう。
